シナジーの意味とは?具体例や対義語、活用事例なども併せて解説!
シナジー(ビジネス用語)の意味とは?
シナジーとは、元々は薬学や生理学、生物学といった分野で使われた言葉で、元々は複数のものがお互いに作用しあうことで、効果や機能を高めることを意味する言葉です。
それが転じてビジネス用語としては「シナジー効果を得る」や「シナジー効果をもたらす」というような相乗効果といったニュアンスで使われることが多くなっています。
シナジーはこちらにも収録されています。
シナジー効果の具体例
シナジー効果の具体例は以下の通りです。
生産シナジー
生産するための情報や設備を共同利用することで生まれる効果を、生産シナジーと呼びます。
たとえば複数の企業が原材料を共同購入することによって、各社ごとに買うよりも仕入れ量が多くなります。
そのため価格交渉もしやすくなりますし、在庫管理もしやすくなります。
さらに在庫管理を徹底することで工場の稼働率も高まり、コスト削減につなげることもできるでしょう。
このように生産シナジーは生産性がアップするだけではなく、コスト削減といった側面からも注目されている言葉です。
販売シナジー
販売シナジーとは、流通経路や販売経路を共有することで効率化する相乗効果を意味する言葉です。
生産設備や開発などを共有することで効率化して、相乗効果が生まれるのです。
企業の合併買収であるM&Aも販売シナジーの一つです。
特定の企業の生産設備や研究開発などを買収することで、ブランドを育てるよりも短期的に販売効果を得ることができ、売上拡大も可能になります。
投資シナジー
新商品を生み出すためには研究開発が必須ですが、研究開発のためには原材料だけではなく設備なども必要になってきます。
そういった設備あるいは情報を単独で持たず、同業他社と共有することで大きな効果を生むことを投資シナジーと言います。
単独で行う場合と比べて、原材料を多く使ったり、最新の設備を低コストで使うことが可能になるでしょう。
さらに複数の企業のノウハウを結集することで、従来よりも優れたものを生み出すことも可能になります。
経営シナジー
経営シナジーは、別の名をマネジメントシナジーとも言います。
設備なども目に見えるものではなく、管理者あるいは経営者のノウハウといった情報を共有することで得られる相乗効果のことを、経営シナジーと呼びます。
主にM&Aなどの企業買収時に見られ、経営者だけではなく、そもそもの企業の管理者や役員などが集まり、それぞれの企業の経営戦略の強みを融合させ、これまで以上の経営戦略を策定するのです。
今までとは異なる業界に参入する場合には特に、こういった経営シナジーが大変重要になります。
業界のノウハウを試行錯誤しながら得る必要がないので、新規参入の際のコスト・時間が大幅に削減できるのです。
さらに、新規参入に失敗するリスクも大幅に下げることが可能になります。
シナジー効果の対義語
アナジー効果
アナジー効果は負のシナジー効果、マイナスシナジー、ネガティブシナジー、ディスシナジーといった表現をされることもあります。
たとえば、統合することでプラスになる予定だったものが失敗に終わってしまった場合、アナジー効果になってしまったと表現することもあるでしょう。
通常、100の生産力を持つ企業が50の生産力を持つ企業を買収した場合、生産力は最低でも150になるはずです。これが相乗効果によって170や200となるのが、シナジー効果です。
一方、経営戦略の重要事項の相性が悪かったり、経営者同士のノウハウの共有が上手くいかなかったりして、生産力が130や90といったレベルまで落ちてしまうのが、アナジー効果です。
特に新しい業界に参入するためにM&Aを行った場合などは、企業風土の違いや異なる評価制度によってアナジー効果が発生しやすいと言われています。
シナジー効果の活用事例
シナジー効果の活用事例には、以下のようなものがあります。
業務提携
たとえば同じ業界において、業務提携を行うのは、代表的なシナジー効果の事例です。
長期的な提携関係を維持するために、単なる契約を交わすだけではなく、お互いに株式を取得することもあります。
これにより原材料の共有だけではなく、仕入れルートの共有、技術の共有、市場シェアの共有といった、コスト削減や新規参入ハードルの低下なども期待できます。
M&A
M&Aを効果的に行うことで、シナジー効果も期待できるようになります。
たとえばパソコンのソフトを作っていた会社がゲーム会社を買収すれば、PCゲームなどを売り出すことができるようになるでしょう。
そこから転じて家庭用ゲーム機用のシステムを売ることもできますし、そこで使われている通信システムのノウハウを使って、新たなオンラインゲームを作成することもできます。
このように、現在の業界と近い業界をM&Aすると、シナジー効果が得られやすいと言われています。
多角化戦略
違う業界と提携する多角化戦略も、シナジーの一例です。
たとえば最近ではガソリンスタンドにカフェやコンビニエンスストア、あるいはコインランドリーが併設されているところも少なくはありません。
そのように「ガソリンを入れに来たついでに、ちょっとお茶をする」や「洗濯を洗うついでに給油する」といった購買層を呼び込むことで、新たな収益が生まれるでしょう。
さらに、たとえば高級なカフェとコンビニエンスストアがコラボすることで、高級なカフェには「近寄りがたいと思っていたけど、意外と今度行ってみても良いかもしれない」というイメージがつきますし、コンビニは今までとは違う高級なイメージが生まれます。
こうした消費者の意欲の変化も、シナジー効果の一つだと言われています。
グループ経営
グループ経営においては、各社ごとに異なるシステムを使っている会社も珍しくありません。
特に人事評価システムや経費精算システムでは、会社ごとに独自のシステムを導入するだけではなく、開発しているところもあります。
しかし、こうしたシステムを全て一本化することによって、本社が子会社の状況を即座に判断することができるようになります。
結果的に、人材の出向といった判断も簡単に可能になるだけではなく、資源の投入なども判断しやすくすることができます。