OJTの意味とは?語源や使われる場面、メリット・デメリットを紹介
OJTの意味とは?
OJTとは先輩社員や上司が後輩や部下に対して必要な知識やスキルを、実践しながら伝承するという意味を持つ言葉です。
一方、現場ではなく座学で業務に対する知識やスキルを教えることを、OffJTと言います。
一般的に新入社員研修などはOffJTで行われ、配属後に現場で本格的なOJTが行われることが多いようです。
OJTはこちらにも収録されています。
OJTの語源や生まれた時代
OJTとは、元々は元々は「On The Job Training」という言葉で、その頭文字をとって「OJT」と呼ばれるようになりました。
ただし元々はビジネス用語ではなく、1914年に勃発した第一次世界大戦中のアメリカで、軍人を養成するために生まれた教育制度です。
当時のOJTの中には「やってみせる(Show)」、「説明する(Tell)」、「やらせてみる(Do)」、「成果を確認し、追加で指導する(Check)」という4つの要素が含まれていました。
これは軍人要請に限らず後進の育成に非常に効果的であったことから、日本の企業でも積極的に導入されるようになったと言われています。
OJTが使われる場面
OJTという言葉は、主に以下の2つの場面で使われます。
OJT研修
企業にもよりますが、一般的に新人研修は1ヶ月~半年くらい行われることが多いものです。
その中で、ずっと座学研修、すなわちOffJTだと新入社員の集中力も続かず、研修の効率が下がってしまいます。
そのため、新人研修中に短期間のOJT研修を入れ、現場の雰囲気を味わわせることが多いようです。
これにより新入社員のモチベーションの維持や、現場に出た際に身につけておきたい知識の再確認が行えるなど、多くのメリットがあると言われています。
部下へのOJT
OJT研修というと新入社員を対象にしているものが多いですが、上司から部下に対してOJTが行われることもあります。
たとえば上司の行っている業務を引き継ぐ時などは、部下へのOJTを行うこともあるでしょう。
同様に、先輩社員が後輩社員に対してOJTを行うこともあります。
また、めったにありませんが、まれに後輩社員や部下の立場から、先輩社員や上司に対してOJTを行うこともあります。
営業のように一人一人が独立して働いている部署では、その社員が異動になる際に営業動向によって後任に引き継ぐこともあります。
その際に業務を教えるのも、OJTの一種だと言えるでしょう。
OJTを行うメリット
OJTを行うことによるメリットは、主に以下の2つです。
実務のノウハウを効率的に習得できる
実務で必要となるスキルや知識を、座学だけで完璧に身につけるのは非常に困難です。
頭に入らないこともあれば、理解したつもりでも現場に出ると細かなミスをしてしまうこともあるでしょう。
その際にOJTを行うことにより、実際に手を動かすのでスキルや知識の定着が早くなります。
さらに「自分はこういうところが分からない」という弱点の認識にもつながり、その後のOffJTの効率も大きく高まることが期待できます。
外部から講師を呼ぶ必要がない
OJTは多くの場合、外部から講師を招聘しません。
たとえば新入社員であれば、現場の営業所や部署に短期間だけ配属され、そこで先輩社員から実務に必要なスキルや知識を習います。
このように社内の社員が社員に教えるため、外部から講師を呼ぶためのコストをカットすることができます。
OJTを行うデメリット
一方、OJTにはデメリットもあります。3つのデメリットを紹介していきます。
現場に負担がかかる
現場でOJTを行うと、現場では普段の業務に加えて新入社員や部下に対するOJTを行わなければなりません。
その際は普段とは違う動きをする必要もあるため、どうしても現場に負担がかかってしまいます。
OJTの当日のみに負担がかかるだけではなく、その前の準備期間の負担がかかることもあれば、OJT後に遅延した業務を取り戻すための負担がかかってしまうこともあります。
教育スキルにバラつきがある
人事の社員でも、配属された年数や経験によって教育スキルにバラつきがあるのは仕方がないことです。
さらに現場OJTとなると、ほとんどの社員は教育に対する必要な研修を受けていません。
管理職であれば部下の育成ノウハウが身についていることもありますが、OJTは多くの場合、現場の3~5年目の社員が担当することが多いものです。
そのため、どうしても教育スキルにバラツキが出てしまいます。
「あそこの部署に配属された新人はしっかり育つけど、あそこの部署では放置されてスキルが身につかないうえに離職率も高い」という状況に陥ってしまうリスクもあります。
自己流のやり方が身についてしまう
人事が推奨している方法と、現場で行っている方法が大きく異なるのもよくあることです。
そのため、OJTを行うことで上司や先輩社員の癖が入った自己流のやり方が身についてしまうこともあります。
その後で人事が改めて本来のやり方を教えようとしても「どうして現場ではOKなのに、わざわざそんなやり方をしなければならないのか」と言われてしまい、OJT後のOffJTに支障をきたしてしまうこともあります。