ヒヤリハットの意味とは?業種別の具体例、報告の目的や注意点、定着させるための方法も併せて解説!
ヒヤリハットの意味とは?
ヒヤリハットとは、なんらかの危険な出来事が起こってしまったが、幸いにも災害や事故にならずに済んだ事象を意味する言葉です。
職場などで使わることが多い言葉ですが、家庭内にもヒヤリハットの事例はあります。
たとえば「階段から落ちたけど、怪我がなかった」や「コップを落としたけど割れなかった」なども、ヒヤリハットの一例だと言えるでしょう。
ヒヤリハットはこちらにも収録されています。
ヒヤリハットの由来
元々はヒヤリ・ハットと表記されることも多く「失敗をしてヒヤリ」としたり、「危うく事故になりかけて、ハッとした経験」を意味する言葉でした。
それが縮められて、現在では「ヒヤリハット」と言われるようになりました。
ヒヤリハットの業種別の具体例
業種別のヒヤリハットとしては、どのようなものがあるのでしょうか。
製造業
製造業での代表的なヒヤリハット事例を紹介します。
「工場での加工作業中に機械に軍手が巻き込まれそうになったが、巻き込まれずに済んだ」
「荷物を機械で吊り下げている時に、紐が緩んで転落しそうになった」
などが挙げられます。
運輸業
運輸業の場合は、運転中のヒヤリハット事例が多いと言われています。
「高速道路で車線を変更する際、死角に入った軽自動車に気付かずに接触事故を起こすところだった」
「トラックから荷物を下ろした後、同乗者を乗せるのを忘れて発車するところだった」
というヒヤリハット事例がよく報告されています。
建設業
建設業の場合、大きな素材を扱うことが多いので、それに関するヒヤリハット事例が多くなります。
「大きな木材をクレーンで移動させる際、紐が切れて落下してしまった。ただし、下に誰もいなかったため、けが人もなく工具などの故障もなかった」
という、実際に事故が起きたものの、災害には至らなかったというのもヒヤリハット事例です。
医療職
医療職の場合、一つのヒヤリハットがそのまま人命の危機に繋がることもあります。
「車椅子を押している時、小石に車輪をとられて転倒しそうになった」
「点滴を投与しようとした時、間違って隣のベッドの患者のものを投与しそうになったが、患者本人が違いに気付いて危うく投与せずに済んだ」
という、重大な事例もヒヤリハット報告の中には存在しています。
オフィス業務
オフィス業務でもヒヤリハットが報告されることがあります。
「LANケーブルにつまずいて転びかけた」
「ドアを勢いよく開けたら、反対側の人の顔に当たりそうになった」
などのうっかりミスも、重大なヒヤリハット事例だと考えて良いでしょう。
ヒヤリハット報告の目的
ヒヤリハット報告の目的は、重大な事故を防ぐことです。
ヒヤリハットは全て「今回は運が良かったから、事故に繋がらなかった」というだけで、次に同じことが起きた時は重大な事故に繋がる恐れがあります。
そういったリスクを下げるために、ヒヤリハット報告によって原因と対策を考えることが重要です。
ヒヤリハット報告の注意点
ヒヤリハット報告をする際には、分かりやすく具体的に記入することが重要です。
現場を知っている自分たちが分かるのではなく、現場を見ていない本社や他の事業所の職員が見ても「こういう場面が危ない」と分かりやすいように書かなければなりません。
また、報告を受けた側は、報告者を責めてはいけません。
「寝不足でミスをするなんて、たるんでる証拠」や「毎回マニュアル通りの確認をしていたら、そんなミスは防げたはずだ!」と責めては、今後ヒヤリハット報告自体が上がってこなくなってしまうでしょう。
さらに「〇〇さんはミスが多いから気を付ける」といった個人の責任に転嫁せずに「〇〇さんも含めて誰もがミスをしない体制を作るためにはどうすれば良いか」と、今後のことを考えていくことも大切です。
ヒヤリハット報告を定着させる方法
報告のための時間を確保する
まずはヒヤリハット報告をするための時間を確保しましょう。
ヒヤリハット報告は、当事者にとっては自分自身のミスを報告する嫌な時間です。
定時に仕事が終わった後で、わざわざ怒られるような報告書を書きたいと思う人はめったにいないでしょう。
そういった理由でのヒヤリハット報告漏れを防ぐためには、定時時間内に報告のための時間を確保するようにしましょう。
報告の方法を周知する
個人が自分の流儀で書いた報告書では、ヒヤリハット報告としては不完全です。
内容が他の人に伝われないと、他の人も注意することができません。
そのため、ヒヤリハット報告書はテンプレートを作成することもおすすめです。
「いつ・どこで・なぜ・誰が・結果」のように、最低限書かなければならない項目を作っておいて、簡単にヒヤリハット報告書を作成できるようにしましょう。
報告によって責められないようにする
ヒヤリハット報告は、今後の改善のための重要な事例です。
そのため、報告してくれたものを怒ってはいけません。
「わざわざ報告してくれてありがとう」や「今後の検討材料にさせてもらう」という気持ちで、報告書を見るようにしましょう。
報告者や、ヒヤリハット報告書を出しやすい環境を作ることも大切です。
報告を簡単にする
いくら報告の時間を設けて項目を作成しても、面倒な書式だとわざわざ書きたくないと思ってしまう人もいるでしょう。
そのため、ヒヤリハットの報告書は簡単に作成できるようにしておきましょう。
その上で、報告書を見て「これはもう少し詳しく知りたい」というものがあれば、そこでさらに詳細を聞き取る、というような形にするのもおすすめです。