擬人化の意味とは?
擬人化の意味
擬人化とは人間ではないものを人間として描写したもののことを意味する言葉で、読み方は「ぎじんか」です。
漫画やアニメなどではよく使われる表現で、読者・視聴者にもとても人気です。
ネットスラングの一覧にも収録されています。
擬人化の歴史
擬人化表現は、平安時代・鎌倉時代には既に多くの人々が楽しんでいました。
京都府京都市右京区にある寺院 高山寺で保管されている絵巻物「鳥獣人物戯画」は日本最古の擬人化作品として知られており、甲・乙・丙・丁の全4巻から成り立つこの巻物は当時の世相を表現しています。
人間のような動きや仕草をしているうさぎ・カエル・猿の絵は今でも多くの人に愛されており、マグカップやTシャツなどの商品も数多く販売されています。
擬人化は日本の文化の一つ
現代でも擬人化の人気は非常に高いですが、元々この擬人化表現は物語・仏教・思想などを人々に分かりやすく伝えるためのものでした。
草花と木々の合戦を描いた「草木太平記」、古い道具が付喪神になって人間を襲う様子を描いた「付喪神絵巻」など、身近なものを人間に見たててストーリーを展開することで誰にでも教えが分かるように作成されたものが、いつしか人々の娯楽となりました。
擬人化に面白みを見出すその感覚は現代日本人にも受け継がれていますが、古くから楽しまれているこの表現技法は日本の伝統と言っても過言ではないでしょう。
海外で人気の擬人化作品にはどんなものがある?
擬人化は日本特有のもののように思えますが、実は海外でも擬人化と言って良い作品は多数存在します。
例えば私たち日本人にも馴染み深いミッキーマウスとその仲間たちや、「機関車トーマス」などの作品も擬人化と言えます。
しかしながら世界的に見てもやはり日本の擬人化作品の数は圧倒的に多く、日本が擬人化させたもののビフォーアフターの画像を「#Japanizing Beam」というハッシュタグをつけて投稿するのがとても流行ったようです。
人気の擬人化アニメ3選
ここからは、日本の擬人化アニメの中でも特に人気の作品3選をご紹介していきます。
1.ヘタリア
ヘタリアは国を擬人化した作品です。
主要なキャラクターは枢軸国と呼ばれる日本・ドイツ・イタリア、連合国と呼ばれるアメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国です。
各国を擬人化して繰り広げられるストーリーは実際の歴史に基づいたものも多く、楽しみながら歴史の流れを簡単に知ることができる作品と言えます。
2.はたらく細胞
はたらく細胞は人間の体内の細胞を擬人化した作品で、各細胞がどのような働きを持ち体内でどう活躍しているかを描いています。
普通であればあまり接点のない新米赤血球AE3803と白血球U-1146を中心に展開されていくストーリーは医療系の知識を持たない人にとっても分かりやすく、連載が終わった今でもその人気は衰えていません。
細菌なども擬人化されて登場し体内にどのような影響があるのかを知ることができるので、一度見れば健康に対する意識が高まるでしょう。
3.刀剣乱舞
刀剣乱舞は日本に存在する名刀を擬人化した作品で、各名刀の擬人化「刀剣男子」を強化し隊を組んで敵を討伐するというストーリーです。
平安時代の名刀「三日月宗近」や南北朝時代の名刀「にっかり青江」、鎌倉時代の名刀「骨喰藤四郎」など様々な名刀が擬人化されて登場されますが、各名刀にまつわる逸話や所有していた者の話がキャラクターの性格に盛り込まれているというのも特徴的です。
美しく描かれたキャラクターもさることながら、あまり知る機会のない刀が持つ歴史を知れるというのもこの作品の魅力と言えます。
まだ擬人化されていないもの
漫画やアニメを日常的に見ている人の間では、日本が擬人化していないものはもうないと言われています。
これまでに馬や猫などの動物はもちろん、鈍器・戦艦・米・宝石・「ウルトラマン」に登場する怪物・鉄道駅など、様々なものを擬人化した作品が輩出されていきました。
もちろん漫画やアニメだけの作品だけでなく、市町村・企業・サービスなど地域社会・各企業までもがもっと多くの人に存在を知ってもらうために、自らを擬人化するという動きも見られます。
このように規模の大小にかかわらず擬人化されているものを見ると、もう日本には擬人化されていないものはないのではないかと考えられているのにも納得できます。