リードタイムの意味とは?似た意味を持つ言葉やメリット、具体例、注意点を紹介!
リードタイムの意味とは?
リードタイムとは、主に商品やサービスを発注して納品されるまでの日数や時間という意味で、物流で使われることが多い言葉です。
その他、広義の場合のリードタイムは、各工程の始まりから終わりまでの所要時間を意味することもあります。
たとえば製造業であれば、発注書を出してから実際に作られ、製品検査などが終わって市場に出るまでをリードタイムとする場合もあります。
リードタイムはこちらにも収録されています。
リードタイムと似た意味を持つ言葉
リードタイムと似た意味を持つ言葉としては、下記のような言葉があげられます。
納期
リードタイムは、発注から納品までの間の期間を意味する言葉です。
そのため「リードタイムは5日です」のように表現されることが多いでしょう。
一方、納期とは納品が完了する具体的な期限を意味する言葉です。
そのため「今日から5日以内に納品します」や「あるいは納期は〇月〇日でお願いします」のように具体的な日時が指定されます。
タクトタイム
タクトタイムとは、特定の一つの製品の製造にかける時間のことを意味します。
別名をピッチタイムと呼ばれ、そう表現されることもあります。
たとえば一人の稼働時間が8時間(480分)で、一日に生産しなければならない個数が20個だとすると、一つの製品にかける時間は480÷20=24分となります。
タクトタイムは一般的に、必要生産数が先に決まっていて、それを元に「じゃあどのくらいの時間で一つの製品を作れば良いのか」という考えで算出される考え方です。
そのタクトタイムによって稼働時間が変わったり、作業者の人数が増やされたりすることもあるでしょう。
一方、リードタイムの場合は発注から納品までにかかる全ての時間を意味します。
つまり先ほどの例でいえば、20個の製品が納品されないとリードタイムは終わりません。
そのため生産時間8時間+納品までの所要時間がリードタイムとなります。
サイクルタイム
サイクルタイムとは、一つの製品の工程を開始してから完了するまでの流れで、実際にかかる時間を意味する言葉です。
たとえば先ほどの例だと480÷20で、一つの製品のタクトタイムは24分となります。
ただ、実際には作業者がトイレなどに休憩に行くこともあれば、作業内容に迷って失敗してしまい、30分くらいかかって作業することもあるでしょう。
一方、最後の方になってくると作業者の熟練度も高まって20分で完成させることができるようになるケースもあります。
このように、稼働時間÷実際の生産数で求められるのがサイクルタイムです。
タクトタイムに収まらない「製品の仕様書を確認する時間」や「やり方があっているか周りに確認する時間」などをボトルネックと呼びます。
すなわち、実際にかかる時間であるサイクルタイムからボトルネックをできるだけ解消し、理想的な数値であるタクトタイムに近づけることで、生産性が向上していきます。
スタンダードタイム
スタンダードタイムとは、標準的な環境で標準的な能力の人が作業した場合、製品を一個を作り出すまでの時間を意味する言葉です。
「特別に有能な人」や「作業に不慣れな人」、あるいは「ちょっと体調が悪くて作業効率が悪い」などの条件を除いた時間となります。
タクトタイムはあくまで理想的な値ですので、実際の製造工程ではタクトタイムよりもスタンダードタイムを元に製造可能個数を算出することが多いようです。
リードタイムを短縮するメリット
リードタイムを短縮するメリットには以下のようなものがあります。
効率化が進む
リードタイムを短縮することで、効率化することができます。
一つの製品の納品までにかかる時間が短くなるので、その時間をさらに別の製品に対する作業時間に充てることができるのです。
結果的に、一つの製品のリードタイムを短縮することで複数の製品の効率化が高まります。
人材の有効活用が可能になる
さらに、一つの製品に携わるメンバーの時間が短くなることで、その空いた時間で他の製品に対するヘルプ要員になることができます。
一つの製品の製造から納品まで10人が関わっているとしたら、リードタイムを一日短くすることで10人が一日自由に動くことができるのです。
人材の有効活用が可能になる他、休みがとりやすくなるなど、働き方改革においても大きなメリットとなるでしょう。
他社との差別化が可能になる
リードタイムを短くすれば、他社よりも早く商品・サービスを消費者の元に届けることができるようになります。そのため、これだけでも大きな差別化になるでしょう。
また、空いた時間や人材を企画会議に回すことで、さらなる差別化のアイデアを生み出すことも可能になります。競争力が大きくアップする結果になるでしょう。
リードタイムを短縮する具体例
リードタイムを短縮するための具体的な方法は以下の通りです。
無駄なタスクを洗い出す
仕事をしていく上で、無駄なタスクを洗い出すようにしましょう。
たとえば場所Aで作業して場所Bでチェックして場所Aでの作業に戻る…というタスクがある場合、場所Aでチェックが行えないか、チェック担当者を移動させることはできないかを考えることができます。
このように無駄なタスクを洗い出し、それをなくしていくことでリードタイムを短縮することができます。
仮に一度に10分しか短縮できないとしても、それを積み重ねていくことで大きな短縮となるでしょう。
プロセスを最適化する
リードタイムを短縮するためには、プロセスの最適化も大切です。
作業に慣れていない人はリードタイムが長くなってしまいがちですが、先輩の作業を見ることでさらに簡単なやり方を見つけることができるようになるでしょう。
このように、一人一人の作業員のプロセスを最適化することでも、リードタイムは短縮できます。
情報や方法を共有する
誰かに教えてもらうことでプロセスを最適化するだけではなく、最適化する方法を知っている人が自発的にその方法を共有していくことも大切です。
「こうすればもっと早く納品できる」や「ここのサイトを使えば情報が整理されている」のように、ノウハウを共有していきましょう。
また、作業員の能動的な情報共有を実現させるためには、評価方法を再考することも大切です。
「全員のリードタイムの短縮に貢献する」ということを評価の項目に入れることで、情報共有が活性化するでしょう。
リードタイムを短縮する際の注意点
リードタイムを短縮する際には、以下の点に注意する必要があります。
クオリティを下げないようにする
リードタイムを短縮させることばかりに気をとられて、クオリティを下げないように注意しましょう。
作業のクオリティを下げると、製品のクオリティが下がってしまいます。また、事故などの元になってしまう恐れもあります。
いくらリードタイムが短くなっても、商品やサービスのクオリティが下がれば消費者は離れていってしまいます。
あくまで「今のクオリティを維持しながらリードタイムを短縮する」ということを意識してください。
人にタスクを押し付けないようにする
自分のリードタイムを短縮させるために、人にタスクを押し付けないようにしましょう。
確かに、誰かに手伝ってもらえば自分自身の作業は少なくなり、楽になります。
ですがタスクを押し付けられた人の仕事は増えて作業時間も長くなるでしょう。
また、さらにその人をフォローするために他の人が動かなければならないこともあります。
これでは全体的なリードタイムは、短縮どころか、むしろ伸びてしまいます。