おのぼりさんの意味とは?
おのぼりさんの意味
おのぼりさんとは、都会を見物する目的で田舎からやってきた人を意味する言葉です。
都会に出てきて辺りを物珍しそうに見回している「田舎者」をからかって使う言葉で、単なる観光客とは意味合いが少し違います。
漢字では「お上りさん」「御上りさん」と表記します。
おのぼりさんの由来と語源
おのぼりさんという言葉は江戸時代から使用されているようです。
昔は地方から京の都へ行ったり江戸へ行ったりすることを「上る」と言っていました。
現在でも鉄道の「上り線」「下り線」などで使われている言葉です。
この「上る」という言葉が「おのぼりさん」の語源です。
また、地方に住んでいたとしてもその地方の中で田舎の方から中心部へ行くことを「おのぼりさん」と表すこともあります。
あくまで自分の意思で都会を訪れる人を指す言葉で、転居や転勤などやむを得ない理由で都会へ行く人は「おのぼりさん」には該当しません。
おのぼりさんの類義語
次におのぼりさんの類義語についてご紹介します。
類義語①ぽっと出(ぽっとで)
ぽっと出とは、生まれて初めて自分の住んでいる田舎から都会に出た人のことを意味する言葉です。
1810年ごろの書籍ですでに使用されていたとても歴史のある言葉で、「ぽつんと出てきた人」を略した言葉であると言われています。
類義語②いなかっぺ
いなかっぺは「田舎で生まれ育った人」という意味の言葉です。
かつてアニメのタイトルにもなったほど有名な言葉ですが、田舎者を馬鹿にする意味合いが含まれているため、使用する際には注意が必要です。
いなかっぺには「田舎から都会に出てきた」というニュアンスは含まれませんが、「田舎者を揶揄する」という点ではおのぼりさんの類義語と言えます。
おのぼりさんの特徴
ここからは、おのぼりさんにはどのような特徴があるのかについて見ていきます。
特徴①きょろきょろと周りを見回している
駅や路上、観光地などできょろきょろと辺りを見回している人たちがいたら、おのぼりさんかもしれません。
その土地に慣れていないため、周囲の様子を確認して今自分がいる場所を把握しようとしているのです。
また、田舎の人は高層ビルに慣れていません。上を見上げるだけでその高さに眩暈がしてしまうという人もいるようです。
特徴②地元の人が行かない観光地にいる
東京タワーやスカイツリー、お台場など東京に住んでいる人であればあまり観光しないような場所に集まっている人はおのぼりさんの可能性が高いです。
せっかく来たのだから有名な場所を見ておこう、といわゆる「観光スポット」に集まってきます。
ご当地グッズやお土産をたくさん買うのもおのぼりさんの特徴と言えます。
特徴③方言が色濃く出ている
東京にいると地方の方言は結構目立つものです。
地方から東京に移り住んできた人でも、綺麗な標準語を話せるようになるまでにはかなりの時間がかかります。
本人たちはうまく標準語を話しているつもりでも、どことなくイントネーションが違ったり、ふとした時に方言が出たりします。
一方おのぼりさんは都会に住んでいるわけではなくその時だけの観光客ですので、あまり方言を隠そうとしません。
耳馴染みのない方言で話している観光客がいたら、それはおのぼりさんかもしれません。
大阪弁の「おのぼりさん」
大阪弁にも「おのぼりさん」という言葉があります。
大阪弁での「おのぼりさん」には、「地方から都会へ引っ越した人」という意味合いも含まれているようです。
「都会人って言うてるけど、おのぼりさんやろ?」というような使われ方をします。
このように方言としての「おのぼりさん」も存在し、少し違ったニュアンスで使用されることもあります。
挨拶での「おのぼりさん」
愛媛県にある石鎚山(いしづちさん、いしづちやま)は標高1982m、山岳信仰の山として有名です。
この石鎚山では、登山をする人がすれ違う際に「おのぼりさん」と挨拶をします。
「おのぼりさん」は下山中の人が登山中の人にかける言葉です。
逆に登山中の人が下山中の人にかける言葉は「おくだりさん」となります。
おのぼりさんの使用例
最後におのぼりさんの使用例を見ていきましょう。
使用例①「おのぼりさんがバレるからうろうろしないで!」
観光客の中には自分が地方から来た者であると知られたくない人もいます。
自分は知られたくなくて必死なのに、同行者が辺りをきょろきょろうろうろしているとおのぼりさん丸出しになってしまいます。
そんな同行者に「おのぼりさんがバレてしまう」と慌てて言う時の使用例です。
使用例②「昔はおのぼりさんと言われたが、今は関東在住者だ。」
田舎育ちの人の中には、都会暮らしに強烈な憧れを抱いている人がいます。
昔観光に行った時には「おのぼりさん」だと揶揄された経験がありますが、夢を叶えて関東在住者になった際の使用例です。
しかし生粋の東京生まれ東京育ちの人から見れば、どちらも同じようなものなのかもしれません。